多希が現れたのは、重さんから連絡を受けた日の翌日。 勉強会に来ていた子どもたちもみんな帰って、私も帰ろうと会館に鍵をかけようとしていた時だった。 「先生」 振り返ると、私の背後に、明日もカラカラに晴れそうな真っ赤な夕焼け空を背にして、多希が立っていた。 多希の表情は、逆光でわからなかった。 けど、沈んだ声からは、あまりいい話は聞けなさそうに感じた…。