私の兄は正義のヒーロー

つまりはこういうことだ。

真斗が有名な理由は二つあって、 一つ目が理事長の息子だから。

二つ目はなかなかいない、魔性のゲイだから。

理事長の息子っぽくないのもそのせいだったわけで、合点がついた。

あと、残るは一つ。

なぜ、我が兄をサークルに誘ったか、だ。


私は真斗のゲイっぷりを見せられ、呆然としていた。

「あんたも久しぶりねー!えーっと…りなちゃん?だっけ?」

ゲッ…こっちにまで来た…

てか、りなちゃんって誰だし…

でも、ここは慌てず落ち着いて。

「お久しぶりです。石田真斗さん。」

私は満面の笑みを見せた。

「いつも兄がお世話になってます。河端璃星です。」

わざと名前のところを強くしたのは、嫌味をたっぷり詰め込んだからだ。