「ただいまぁー」


それから少しして、カモちゃんが帰ってきた。


「おかえり、カモ」

「わざわざごめんね」

「いいのいいの!ゼリー3つ買ってきたから、3人で食べようよ!」

「あぁ、そうだな」


カモちゃんは楽しそうにゼリーを並べる。


「伊月!好きなの選んでいいよ!」

「えっ、僕?仁太くんは...」

「いいじゃねぇか、お前のために買ってきたんだから」

「そーだよ!」


カモちゃんの満面の笑みに、僕は小さく頷いて、いちごゼリーをとった。


「じゃあ次は仁太くん!」

「んー、じゃあ俺はこれで」


そう言って仁太くんはみかんゼリーをとった。


「じゃあ私はこれね」


そう言ってカモちゃんは白桃ゼリーをとる。


「いただきまーす!」

「「いただきます」」


3人で食べ始めると、カモちゃんは僕を見た。


「美味しい?」

「え?あ、うん。美味しいよ!一口、いる?」

「ほんと?やったぁ!あーん」


カモちゃんが無邪気に口を開けてゼリーを待つ。
その姿が、たまらなく可愛い。


「あーん」


僕がカモちゃんの口にゼリーを入れると、カモちゃんは「美味しい」と微笑んだ。


それを見て、仁太くんは僕に小さく耳打ちをする。


「気付けよ、伊月。カモはお前のことしか見てねぇっつーの」


僕はそれを聞いて、顔が熱くなるのを感じる。


「もっと自信持てよ。んで、もっと自惚れろ。お前は自信を無くしすぎなんだ」


自信...?自惚れる...?
僕はカモちゃんに好かれてるって?
カモちゃんは、僕しか見てないって?

そんなの...恥ずかしくて出来るわけ...。


「ん...?伊月...顔赤いよ?も、もしかして熱がぶり返したんじゃ...!」

「だ、大丈夫!違うから!これは...違うから!」

「違うって?なんだよ、なんかあったのかー?伊月?」


その横で仁太くんはイタズラっぽく笑う。


「なっ...!?仁太くんの意地悪!」


バカみたいに笑って、話す。

まるで悩んでたのが嘘みたいに、楽しくて、僕はその時間を満喫していた。