「...だから、俺は自分より強いヤツを探した。どこを探してもいなくて、やっぱ裏切り者しかいねぇのかな、なんて考えたとき、お前に会った。お前は、自分より弱いカモって女を守るために強さを発揮して、最強になる。そんなお前に、俺は興味を持った。俺とは真逆の、弱いヤツを本気で好いてるお前に」

「そう、だったんだ」

「あぁ。お前は自分より弱いヤツらに囲まれてて、そいつらを信じてて。だから、お前が信じてるコイツらを、一か八か信じてみるかって気になった。けど、お前は信じてねぇんだよな、カモを」

「信じてない訳じゃ...」

「...お前は、確信できねぇんだよな。本当の自分を知ったカモが、自分と一緒にいてくれるって」

「そう、だけど...」

「俺もそうだから、なんも言えねぇんだけどさ。もしお前が信じられるなら、俺も信じられる気がするからさ。実際、なんとなく分かった。ダチといる楽しさとか。...だから、俺はお前にカモのことも信じてもらいてぇんだ。俺みたいに、自分が孤独だって、感じてほしくねぇ。本当の自分を、自分として見てくれる大切なヤツがいるのって、思ったより楽になるぜ?」


...仁太くんは優しい。
だからこそ、裏切られたときの悲しみや怒りが大きかったんだと思う。
僕は、それを少しぐらいは、軽くしてあげられたのかな。


「カモのこと、信じられるようになるといいな」


カモちゃんを信じる。
それは、カモちゃんに全てを見せられるってこと。

ということは、僕はカモちゃんを信じていないってことになるのかな。

カモちゃんは、僕を信じてくれてる?

僕がトップだってことを知って、逃げたりしない?

頭の中でグルグル渦巻きが回っているみたいな、そんな感覚がしていた。