寂しがりヒーロー

「...ちゃんと説明しろよ、伊月」


空き教室に移動した僕らは、それぞれ適当に席に着いた。


「...僕は...仁太くんや玲や絋ちゃん達のことを見捨てたわけじゃないよ...?」

「...けど、もし俺らが負けるほど強い奴が相手だったら、お前がしたことは見捨てたのと同じことじゃねぇか」


...違うって、言えない。
確かに、僕は最低かもしれない。

カモちゃんにバレないためなら、仲間を見捨てちゃうんだから。


「...カモちゃんに...知られたくなくて」

「知られたくない?」

「...うん。カモちゃんに僕がトップだってことがバレたら、僕は独りぼっちになっちゃうかもしれないから...」

「...意味わかんねぇ。分かりやすく説明しろよ」


いらだつ仁太くんに、僕は少し震えそうになる。
お願い、分かって...。