次の日。
教室に入って視線を彷徨わせる僕は、すぐに仁太くんを見つけた。

仁太くんも、僕に気づいて右手を挙げた。

僕は仁太くんの方に駆け寄る。


「...なんか、伊月って兄貴っつーより忠犬っぽいよな」

「...なんか、仁太くんって失礼だよな」

「地味に真似すんなよ」



そんな馬鹿みたいな会話も、なんだか新鮮。
僕にこんなに自然に話しかけてくれる男友達は、今までにいなかったから。


「あー...やっぱ伊月に負けたなんて、信じらんねーな」

「普段は仁太くんの方が何倍も強いからね」



そんな話をしていると、玲が焦ったようにやって来た。


「玲...?どしたの?」

「...他校が、2、3校団結したらしい」

「え...?」

「伊月さんと仁太に、勝つために」

「...マジかよ」

「なんか...面倒なことになっちゃった...ね」


仁太くんはハァッと溜め息をつき、「いつ来るんだ?」と玲に聞いた。


「...今日の、昼休憩って言ってた」

「えっ...」


僕は、それを聞いて、パニックになりそうだった。


「だ、だめだよ...!昼休憩は...」


昼休憩は、カモちゃんにバレちゃう...。