「お誕生日のお祝い?」


僕にはさっぱり分からないまま。

そんな僕を見て、カモちゃんは呆れたように小さく息を吐いて、「明日は伊月の誕生日でしょ?」と言った。


「...あ、そういえば」

「もう、そういえば、じゃない!自分の誕生日くらい覚えてなよー」

「ご、ごめん」


僕は慌てて謝る。


「でも、それとスマホをいじってたこととは、何の関係があるの?」

「...千章高校の人達がね、伊月の誕生日、一緒に祝いたいって言ってたって聞いて...それで、メールアドレスを交換してたの。だから、その人達と打ち合わせをしてたんだ。伊月の誕生日を、どう祝おうかって。そしたら体育館で直接話そうって言われて...そしたら、拉致されちゃったって感じ...?」

「もう、何やってんの...」


千章高校の人達が、僕の誕生日を祝ってくれるわけ無いじゃん。
僕の誕生日をなんで知ってたのかは知らないけど、それは僕を祝うために知ったわけじゃないよ。


「楽しんでほしかったんだ。伊月に。...ごめんね」


...そんなことを言われたら、怒れないじゃん。

誕生日なんて、忘れてた。
でもカモちゃんは、ちゃんと覚えてくれてて、僕を楽しませようと頑張ってくれてたんだ。

そう思うと、怒る気なんて無くなって、素直に嬉しくなった。