「まぁ、お客さんがたくさんね~」


カモちゃんの家について、おばさんはみんなを笑顔で招き入れる。


「いづくんも、いらっしゃい」

「お邪魔します」


本当、こんなに大勢で...お邪魔します。


「男友達が多いんだなー、望波」

「友達っていうか何て言うか...どちらかと言えば伊月の友達だけどね」

「そうか。いづくんにもたくさん友達がいるんだな。安心したよ」


...友達...かぁ。
確かに僕は臆病で、昔から友達を作るのが苦手だった。

でも今は、こんなにもたくさんの人に囲まれてる。
...でも、友達、なのかな?

僕らはただ、上下関係で繋がってるだけ。
...友達って、何?


「伊月?どうしたの?ボーッとしちゃって」


カモちゃんが僕の顔を覗き込む。


「え?あ、ううん。何でもない!それより食べよ?お腹すいちゃった」

「うん。そうだね。じゃあ、いただきます!」

「いただきます!」


男らしい声が部屋を包む。

賑やかっていうか、うるさいっていうか。
でも、嫌な気はしない。

友達かどうかは、分かんない。

それでも今、僕の心はポカポカしている気がした。