「みーせーてー」

「だーめ」

「みーせーてーよー」

「ダメだってば」


...かれこれ5分、この会話を続けている。

カモちゃんはかなり頑固で、僕には少しも見せてくれない。


「諦めなよ、伊月」


玲は子供に言うように僕に言う。
もう、ちょっと前まで僕にタジタジだったくせに...なんて考えながら玲を睨む。


「玲くんの言う通り!ほら、伊月は玲くんと遊んできなよ」


カモちゃんがこんなにも僕を遠ざけることなんて、今までにあんまり無かった気がする。

僕に隠し事?
...まぁ、僕はもう隠し事してるから、カモちゃんを説教することなんて出来ないけどね。


「伊月、行こ?」


玲は僕にそう言って、廊下へと連れ出した。


「ちょっ、玲!」

「すいません、伊月さん。でも、カモさんにも伊月さんに隠したいことがあるのかもしれないじゃないですか」

「...やだよ。カモちゃんのことで僕が知らないことがあるの...嫌」


...分かってる。
僕がこんなことを言う資格が無いことは分かってるけど...。
...嫉妬しちゃうんだもん。
僕よりカモちゃんに構ってもらえるスマホの中の何かに。


「...カモちゃんは、僕のだし。離れてあげない」


僕のその言葉に、玲は困ったように笑った。

馬鹿馬鹿しいかもしれないけどさ、僕は本気でそう思ってるし。