先生が教室を出て私も席に座ろうと
奥の席に向かう事にした
周りにいた皆は、私をよけるように
道を開いてくれた

(声が出ないってホント……?)
(いや、お前聞いてこいよ(笑))
(嫌に決まっとるやーん)

「わっっ!!!!!」

私の後ろで突然大声が聞こえて
バッと振り向いた、
「うお!こっち向いた!」
「顔は驚いてるけどなんも言わねーな」
「なにしてんだよ」
1人の男子が試しに私に仕掛けたらしく
それを見てた男子達は面白がって
俺も俺もと騒ぎ始めた。

「ちょっとー、やめなよ」
「かわいそーじゃーん(笑)」
やめろとか言いつつ女子達もなんだかんだ笑っていた。

なんとなくこうなるとは思ってたけど
なんだか絶望した。
下手すればあなた達がやってるのはイジメだと、気づかないのだろうか、このクラスは。

「ふざけんなよ。」

さっきの男の子が席を立ち騒いでた男子の前にやって来た、

「は?なんなん、お前」
「お前が最初に騒いでたじゃん(笑)」
「騒いでた?俺は聞いただけだし、
それにこんな大勢で1人の女の子囲った覚えないんだけど?」
他の女子達と私は呆然と見ていた、

「それにさ、お前ら分かってる?
お前が今してることって、下手すりゃイジメに入るんだぜ?」
私が思ってた事と同じこと言ってる、

「蒼井さん、」
男の子は私をじっと見つめる
「ごめんなさい、俺も俺で、君を紹介していた時間を潰したし、元々のからかわれる根源作ったの俺かもしれない、本当に悪かった、次から気をつけるわ。」
男の子の謝る姿勢を見て女子達も急いで
「蒼井さん、ごめんね。」
「ちゃんと止めれば良かったわ。」
騒いでた男子もしぶしぶ
「ごめん。」
「もうしねーわ。」

私はびっくりした。
謝られたことがじゃなくて
彼一人の行動で全員が団結してることが
出来るなんて思いもしなかった。

胸がジーンと熱くなる、
まだクラス人1人の名前も覚えていないのに、このクラスで良かったかもと思った。

私も彼の手を握り(大丈夫だよ。)と
首を横に振り合図した、
それを見て男の子は安堵したようで
ニコッと笑ってみせた。

「まだこいつらの名前、
1人も覚えていないよな?」
コクンと頷いた。

「じゃあ、俺が記念すべき1人目な!
俺は楠原 海(くすはら かい)、よろしくな。」
楠原君はニコニコしながら
手のひらで海という漢字を書いてくれた、
「蒼井さんは宇美って言うんだろ?
同じうみ同士、仲良くしような。」

「えー、楠原ずるーい!」
「いちゃつくなよー(笑)」
「蒼井さん、私も覚えてー!」

クラスがアハハと和んだ、
楠原君は満足気に遠くで笑っている
自己紹介の時に声をかけてくれたのが
楠原君で良かったかもしれない。

私は思わず、顔がほころんだ。