美波の家に着いてリビングに入ると、大きな机に5枚のお皿、オレンジジュースが入ったコップ5つ、たくさんのお菓子、そしてケーキが置いてあった。

「さ、食べよ食べよ~!!」と美波は満面の笑みを浮かべた。食いしん坊の美波にとっては、おやつタイムが1番嬉しいんだろう。「早く座って~!!」と皆をせかす美波からはそんな様子がうかがえた。

「あ~、おいしかった!!」と柚樹が言い、美波、里奈、友達の岩谷麻耶(いわたに まや)、安藤麻衣(あんどう まい)が「うんうん」とうなずく。

「さてと、プレゼント交換しますか!!ラジカセ取ってくる!!」と言って、美波は階段をかけていった。「ウチも行く~!!」と柚樹。2人は階段をのぼって美波の部屋に入った。

「あれ?何コレ・・・?」。美波がポツリとつぶやく。「え?」と柚樹は振り向いて美波の手の中をのぞきこむ。美波の手には、ラインストーンや宝石みたいなものがたくさん付いた、キラキラ光るケース。「さぁ?それにしても綺麗だね!青系の宝石みたいなのがいっぱいくっついてる!!」と明るくふるまう柚樹。あれ?これの色違い、ウチの部屋で見た様な・・・。気のせい気のせい!!、と柚樹は頭をふりながら「行こ!!里奈たちが待ってる!!」と言ってラジカセを持って階段をおりていく。

午後4:46。「じゃあね~!!また明日、学校で~!!」と言う美波と別れて、1人で自宅に向かう柚樹。あのたくさんの光るものが付いたケースが頭の中でグルグル回る。「確かにあった気がしたんだけど・・・。」とつぶやく柚樹。

「ただいま!!」と言いながら玄関のドアを開け、鍵をかけてから自分の部屋に向かう。

「やっぱりあった!!」1人ごとを言う柚樹の視線の先には、美波の部屋にあったあのケースと色違いの物。机の上においてあるそのケースをいすに座りながら見つめる。どうする、柚樹?コレを開ける??自分に問いかける柚樹。

ピンク色のケースを開けようと決意した柚樹。静かに開けると中にはケータイ(にしてはおかしい形をしている)らしきものと小さなステッキが入っていた。

すると、背後から「夜9時に空を見ていなさい・・・。今日は、『神の泉』から王子と姫が飛んでくる・・・。」と言う透き通った声が同時に聞こえる。柚樹は「え?」と言って振り向くが、そこには誰もいなかった・・・。