~序章~

とある少女の話をしよう。名前は、綾織彩紀(あやお り さき)といった。

綾織家の長女として生まれ、とても綺麗な赤みが かった茶色の髪をもち、顔のパーツもそこそこバラ ンスの良い、普通に可愛い方だと称していいだろ う。

赤みがかった茶色の髪は生まれつき。所謂地毛とい うやつだ。

幼いころは、誰もが羨ましいように周囲から思われ ていた。 彼女自身もその髪をとても気に入っていた。

だか、小学校に入学してから、彼女の世界が一変し た

『外国人だ!』『気持ち悪い』『近づかないで!』 『茶髪菌がうつるぞ~。うつったら、全身がウンコ 色になるぞ!』

などの罵声を浴びせられるようになってしまったの だった。

『まだ小学生だ。どうせおふざけ半分だろう』

誰もがそう言った。

でも、彼女自身は辛くてたまらなかった。

友達もいない。元々、小食だった為、給食の際には 昼休みの時間も費やして、掃除の時間、

で食べていた。

そんな一人だった彼女にとって、唯一のテリトリー ができた。 それは、6年生の存在と図書室だった。

その中でも、一番心良く接してくれた男子生徒がい た。 『宮嶋 政行』(みやじま まさゆき) という男子生徒だ。

この時に、彼女の中でひとつ『兄』という存在があ ればと思ってしまう。

それは、どうしようもないこと。 そんな彼女の心に響くような人が現れたのはまた、 のちの話としよう。

まぁ、さて置き、こうして綾織彩紀はこうして一年 間を過ごすことができたのであった。


苦しみながらも、一生懸命過ごしていけていたが、 やはり時間というものは、いつだって敵である。

そう、心の支えであった6年生の卒業だ。


また一人になるという恐怖。


その恐怖心は彼女にとって根強いものとなってしまう。


日々辛い様子に戻ってしまった綾織彩紀の両親は、流石に娘に対して気にかけ始めた。


そうして、小学2年生の冬。

綾織家は、この中途半端な時期に引っ越した。


その真意は彩紀の事を気にかけていた事もあったが、他にもあったことは、まだ当時の彼女の知ることの出来ないものであった。
 


こうして、綾織彩紀の人生は変わることになった。