「……先輩」 私はぎゅっと雨瀬先輩の手を握る。 「私……、今日退院することになったよ」 雨瀬先輩は何も答えない。 その現実(リアル)がとても苦しい。 私は両目を潤ませながら必死に笑う。 「来月から高校も復帰するし……、私……、受験に向けて頑張るからっ……。頑張るからねっ……」 だから…………。 私は雨瀬先輩の手を握ったまま、ぎゅっと目を閉じ俯く。 ぽたっ、と右目から一粒の涙が零れ落ちる。 早く、戻ってきて。 頬を伝う涙は勢いを増して、次々と流れていった。