「僕との合わせの時も、僕の音を聞かず、自分勝手に自由に歌う!」
優人君と雨瀬先輩はぐぐぐ、と押し合う。
「挙句に指示も細かく、この小節はこういう音を出せとか、歌いにくいとか! ピアノを奴隷のように扱う!」
優人君と雨瀬先輩は一歩も動かない。
「だから、声楽科の伴奏やるの嫌なんだ! 主張ばかりで、相手をいたわる気持ちがこれっぽっちもない!」
優人君は、水色のSINE《サイン》ソードを跳ね返すと、高速スピードで黄緑色のSINE《サイン》ソードの先を雨瀬先輩の首に突き当てる。
先輩っ……!
「……このまま殺すことも出来ますが、そうだっ! 条件付きで雨瀬先輩を殺すのやめてあげてもいいですよ」
「条件……?」
「風我、連れておいで」
優人君がそう言うと、
「はーい」
と言って、黒いうさぎのお面を被った風我君が一人の男性を連れてきた。
男性は黒いうさぎのお面を被り、ふわふわな長髪をゴムで束ね、水色のブレザーに水色のチェックのズボンを穿(は)いている。
優人君は、SINE《サイン》ソードの先を雨瀬先輩の首に突き当てたまま、男性のお面をバッ! と奪い取る。
「!」
雨瀬先輩は驚く。



