「ゆ、優人君っ」 「ん?」 「そ、そのっ……」 グランドピアノの椅子に座っている優人君はじっと私を見つめる。 椅子に座ったまま私はぎゅっとスカートを掴む。 私の頬が少し熱くなる。 「ピアノ弾いてくれて、ありがとう」 「え……?」 「元気出てきたよ」 私がそう言うと、優人君は安心した表情を見せる。 「そっか」 ふわっと涼しい風が窓から入ってきた。 優人君は爽やかな笑みを浮かべる。 「僕、ピアノ弾くことしか能がないから良かった」