「――――うさ葉?」 優しいバリトンの声が、後方から聞こえた。 まさか、と思い、私はゆっくりと振り返る。 「ぁっ…………」 私は微かな吐息を漏らす。 紫色のトレーナーにジーパン姿の彼氏、雨瀬柚人(あませ・ゆずと)先輩が立っていた。 私の両目に、じわりと涙が浮かぶ。 ……せん、ぱい。 「やっぱり、うさ葉だ。今、高校の帰り?」 どうして、こんなところにいるの? 大学は? そう尋ねようとしたけど、声が出なかった。 ――――がばっ。 私は雨瀬先輩に抱きつく。