「……犬垣君」 犬垣君は私の顔をじっと見つめる。 「あり……がとう……」 「うん。じゃあ……、行くね」 犬垣君は背を向けて歩きだそうとする。 やっ、やだっ……。 ぎゅうっ!! 私は不安に襲われ、犬垣君のジャージの裾を引っ張る。 「野山?」 犬垣君に名前を呼ばれハッとし、パッと手を離す。 これ以上、犬垣君に迷惑かけちゃだめ……。 「な、なんでもない……」 私がそう言うと、犬垣君はカーテンを締め、ナツ先生のところまで歩いて行く。