「野山っ!!」 ――――ぎゅうっ!! 犬垣君は私を強く抱き締めた。 「落ちつけっ……!!」 「ぁっ…………」 私は細い声を洩(も)らす。 「大丈夫だからっ……、だから……、しっかり……しろっ……!!」 いぬがき……くんっ………………。 私はぎゅっと犬垣君の背中に手を回す。 震えた手で強く強く犬垣君を抱き締め返す。 その時、 ――――パシャッ。 何か音が聞こえたような気がした。 でも、私は気にせず、犬垣君に抱きついたまま安堵の涙を流し続けた。