二人は近くの公園で遊び始めた。
ブランコにすべり台、シーソーにてつぼう。
唯花は砂場であるものを作り始めた。
「 ゆかちゃん何作ってるのー? 」
「 ひみつー! できるまでのお楽しみだよ! もうちょっとだからまっててね! 」
唯花は砂を四角く整えて、あるメッセージを小枝で刻んでいった。
「 できた!りょうくん、目をつむってー、3、2、1 で目をあけてねー、いくよー?? 3 、2 、1 いいよ!! 」
涼が目を開けるとそこには、砂でできたケーキがあった。
覚えたてのカタカナで『ハッピーバースデー』と書かれていた。
「 うわぁ、すごい、すごいね! とってもうれしいよ! ゆかちゃん、ありがとう!」
「 うん! これ、作るのたいへんだったんだからねー!ゆかがおっきくなったら、もーーーっとりっぱなケーキ作ってあげるから!! やくそくね! 」
「 ゆかちゃんありがとう! 」
気付けば時計は午前11時を指していた。
二人は公園で遊ぶのをやめて近くの野原に行くことにした。
そこには、鮮やかな緑の野原、風に葉がなびく桜の木がある。
ここは二人にとって、お気に入りの場所だった。
冬になると雪が積もり、雪合戦をしたり雪だるまを作った。春になると桜が咲いたのでお花見をした。夏になると、桜の木の下でお昼寝をした。
二人はこの場所でたくさんの思い出を作り、素敵な時間を過ごしていた。
二人は木の下に寝転んだ。
葉が風に揺られ、太陽の木漏れ日がきらきらと輝いていた。
「 ゆかちゃん 」
「 なーにー? 」
「 ぼくが、しょうらい、ゆかちゃんと結婚するね 」
「 うん! ゆか、りょうくんのお嫁さんになるー! 」
唯花と涼は顔を見合わせてニコッと笑った。
幼かった あの頃は
涼との何気ない会話が本当に叶うと思っていた
時が経つにつれて、忘れてしまったとしても
色褪せることのない記憶として、私の中では生き続けていた。