「泣かないでよ実里〜っ、ほら笑って笑って!」
「ちょっ、あふぁねっ…ひょのっ!」
「いひゃひゃひゃッ…やったなー!」
「おっ、楽しそうだなー!私も混ぜてくれ!」
「ちょっとあんた、大の大人がそんな子供みたいなっ」
「いいじゃないか!ほら幸乃もっ!」
「やだちょっと、やめっ、…ふふ、あはははっ!」
いつの間にか広間全体が笑に包まれる、変顔大会になっていた。
…こんなに笑ったの久しぶりかも
わたしもこんなふうになりたい、そう思ったことは何度もあった。
けど無理だったんだ、わたしにはそれが許されなかったから…
でも、それを紅音とこの人達が今、許してくれた。
この恩は絶対忘れるわけにはいかない…必ず今度はわたしが紅音を助けるんだっ…
ーーーー数時間後…
「さぁさ実里さん!どんどん食べて飲んでくだせぇっ!」
「あ、はぁ…どうも…」
あの後、わたしは別の広間へ案内されたが、そこには数え切れないほどの男達が笑いながら飲み食いをしていた。
「ねぇ紅音、こんなこと言うのもなんだけど…毎日こんなふうなの?」
「うんそうだよっ」
「…何て言うか、言葉にできないくらいみんなはっちゃけてるね…」
「でしょー?まぁこれがあたしにとっての日常だから、今更どうとも思わないけどねー」
この時、改めて紅音がすごいんだと思った…
でも、たまにはこんなのも悪くないかなー…
「紅音、ありがと…」
そう呟いた声は周りの騒がしい音や声によってスッと消えた。

