怖い、怖い、怖い…
あの日の出来事が頭から離れなくて、ここで紅音に頼れば紅音にも迷惑がかか
る。
「お願い紅音っ、これ以上は…」
フッ…
言いかけた時、目の前に影が出来た。
「そんなんで紅音ちゃんの友達をやってたって言うのかい?」
見上げると紅音のお母さん、幸乃さんが険しい顔で真っ直ぐわたしを見ていた。
「うちの紅音ちゃんはそんな事で諦めたりせぇへんのよ、なんせあたし達の娘やからな、…いいかい実里ちゃん、友達を頼らなかったら他に誰に頼むんや?今あんたの家がどうなってるかなんてあたし達には分からん、けど今はこの子に頼る他ないんじゃないかしら」
「…っ」
幸乃さんの細くて綺麗な手がわたしの頬を優しく包んだ。
「そうだぞ実里ちゃん、紅音の友達は私達にとっても大事なんだ。だから、どうかうちの紅音を頼ってはくれないか?」
と、今度は紅音の義理のお父さんが立ち上がりわたしの頭を優しく撫でた。
その瞬間、胸の奥から何かが物凄い勢いで溢れて来て、両目から次々と涙が伝い落ちていった。
「み、実里っ、大丈夫?どっか痛い?」
「違、ぅ…ごめ、……ぁ、りがとっ」
拭っても拭っても溢れ出してくる涙。

