「ちょっと、うちの紅音虐めるのやめてくんない?」
「み、実里っ…!」
山田俊樹の肩を掴み、そう言ったのは実里だった。
「はぁ?あんた誰だよっ?」
「あんた達なんかに教えるわけないでしょっ」
「教えなくても知ってるよ〜、篠原実里、この学校ではかなり有名だよ?ものすごい美人の子がいるってね〜」
ま、マジか…
「それに俺、気の強い子は結構好きなんだよね〜」
「気持ち悪いから触んないで」
腰に回された園田流季の腕、それを振り払う実里、その時の目は今までに見たことないくらい冷たかった。
「イタタ、…気の強い子は嫌いじゃないけど、あんまりそういうことしない方がいいんじゃない〜?……君のその細腕、俺が折ることなんて簡単なんだよ?」
「…っ、」
さっきまでのだらしない喋り方とは打って変わって、向こうも冷たい目と言葉で詰め寄って来た。
ザワザワっ…
一旦教室が静かになったかと思えば、次はザワザワと話し声が教室内を埋め尽くした。

