あーん あーん…
「なぁ嬢ちゃん、こんな所でなにしてるんだ?」
泣きじゃくるあたしの頭を撫でて、その人は優しく言った。
「そうか、お父さんとお母さんが居なくなっちゃったのか」
「ひッ、く…ぅん…」
「じゃあ俺の所に来るか?」
「ちょっ、純也さん!?何言ってっ…」
「別に子供の一人くらい増えたっていいだろ?ただ家族が増えるだけだ、かまわねぇよ」
その人は他の人が止めるのも聞かずあたしを抱っこして歩いた。
あったかくて、心地よくて…
いつの間にかその腕の中で眠っていたあたしを、その人はフッと笑って…
「…“柊組”ようこそ」
満月の輝く闇夜の空に響いた優しい声…