「え、えっとまだ、誰も経験していないと思うのですが」
ずっと笑顔の私が怖いのか、秋人は敬語混じり答える。若干顔が引きつっていた。
「だよね? 私は未経験。処女だよね?」
迫力に気圧され秋人はこくこくと頷く。
私は一息つくと、真っ直ぐに秋人の目を見つめて口を開いた。
「でも、秋人はたくさん経験している。それがどんなに望んでいない関係だったとしても紛れもない事実。
そこにいくら嫉妬したって仕方がない。いや、しないけども。心がない関係になんて嫉妬なんて。
ただ、それだけの女の人が秋人に寄ってきたってことでしょ?
それはきっとこれからもだよね。秋人はかっこいいと思う。聡子だって言っていた。
でも、私は秋人を信じたい。私のことを好きだって言っていた秋人のこと。
秋人の不安を和らげるのに言葉が必要ならあげる。いくらだってあげる。会いに来いって言うのならいくらでも会いに行く。……でもさ、秋人が私を信じようと思ってくれないと壊れちゃう気がする」
「……」
ゆっくりと秋人の眉が八の字に下がっていく。後悔の色が顔に滲んでいた。
「……愛ちゃん、ごめん」
「謝ってほしいわけじゃない」
「うん。わかってる。でも謝らせて」
秋人は私の前まで来ると、両肩に手を置いて私のことを真っ直ぐに見つめる。



