噂の君は猫かぶりでした。

「ねぇ、ちょっと君に話あるんだけど」



へ?!

わ、わたし?



明らかに私を見て言っているのでそう思ったが、こんなやつに話しかけないだろうと思い理央の方に向かおうとした。



「無視はひどくね?」





へ?!





明らかにさっきのみんなに向けた言葉と違う低い声。






周りはすごく騒いでる。





「え、なに?」


「やだーー」


「悔しいけど絵になる〜」





変な発言ばっか聞こえてくる。




私がこいつと一緒にいたら明らかに不釣り合いだ。



理央の方を見ると楽しそうに見守っている。



助けてよ!




そう考えているといきなり手首を掴まれた。



え!な、なに?!




そのままスタスタと歩いて行かれ私は振り払おうと試みた。




くっ!


つ、強い。



どうやらついていくしかなさそうだ。




大したことではないと願おう。




私はそう思いながら、松下というやつの後をついていった。