カタカタとタイピングの音が響くこの部屋。
こんなにゲームに息詰まるのは、
きっと外の世界で地面を濡らす雨の所為だろう。
暗い紺色のカーテンから顔を覗かせる鳩。
すぐそこに巣があったのに
おじいちゃんが木の枝を切ったから無くなったんだ。
小さな卵も、生き物の住処も、人間は皆奪っていく。
きっと人間は、何かの上に立って奪わないと落ち着かないに違いない。
そうでも思ってないと、この世界で生きていけない。

「………、逃げて何が悪いんだ。」

前に聞いた言葉が脳内で再生される。
私は外から逃げた。それを指摘するのは他人。
他人に、私の人生をどうこう指示されるなんて嫌だ。
比べられるのも、指示されるのも、怒られるのも、自分の個性を常識に戻されることと同じじゃないか。
十人十色なんて、ただの飾りだったんだ。