両サイドに結んだ私の髪が、片方だけ軽く後ろに引っ張られた。 ……オオカミくんだ。 で、でも今はHR中だし、先生に怒られちゃう…! 「…なあ、ウサギ。席、前後だな」 そんなことをよそに、オオカミくんは小声で話しかけてきた。 私は、前をむいたままゆっくり頷いた。 「…実はな、江口に変わってもらったんだ」 …だからか! なんと仕事が早い……。 「この時だけ…周りに恐がられてること感謝したよ」 小声で嬉しそうに話すオオカミくん。