「こ、声でかいよ君……」 


「ど、どどどどうして!」



手を口にあて、震える手で男の人をさす。

そして。



「どうしてシャルイ王子が!?」



王子?

私は耳を疑う。

このひとが王子?

言われると、服装も貴族みたいな王のコスプレをしたみたいな服だ。



「王子って……」


「しー!!あんまり大きい声で王子って呼ぶのはやめてよ。ちょっとお忍びでこっちにきたから」



そういいながら小悪魔みたいな笑いをみせる。

王子が目の前に…?

漫画を見たりして、私も本物の王子様に会ってみたいなんて願った日があった。

まさか本当に出会えるなんて。

だが、それ以上に。



「…私っ…なんて失礼をっ!」



王子に気安く話してなんて失礼なんだろうか。

私は深く何度も頭をさげた。

罰せられるんじゃないかと。



「いいのいいの!それよりよかったね、知り合いの人に出会えて。もう迷子にならないようにね」



と、シャルイ王子は私の頭をまるで子供をあやすようにポンポンとなでてくれた。

とてもお優しい人だ。



「それじゃあ僕はもう行くね。」



来ていたマントを広がらせ、立ち上がりそう言うと歩き出す。



「またね」



ふりかえり、手を降ってくれる王に私は頭をさげる。

よかった、罪とかにならなくて。

するとオカマさんが口をひらく。



「……家に戻りましょ?話ならいくらでも聞くわ」


「…ありがとうございます」



泣いていたってしょうがない。

まずは状況を細かくしろう。

私はオカマさんと家にもどった。