私しかみてない?

一緒にいたはずなのに…。

すると…。


「それよりなにがあったの?」



オカマさんはそう心配そうに聞いてくる。

私は起きたことを軽く話すことにした。



「それが……ちょっと不注意で急な坂から転げ落ちてしまって…。」
  

「あら、大変じゃない!だから森で倒れていたのね」



森…?

私、馬車に乗ってからいつ降りたんだろう?

おろされたのかな。


「あの、ここは山梨のどこですか?」


「え…ヤマナシ?ここはシャナル王国のナルナイロだけど…。」

「え」



シャナル王国?

ナルナイロ?


聞いたことのない。

ここは日本だよね??



「あの、ふざけてるんですか?ここは日本ですよ?」


「あなたこそなにいってるのよぉ!まさか頭うったの??」



私は頭に手をあてる。

これはいったい夢なのか。

ここは日本よ。

あのドアを開けて見渡せば、見慣れた人や家が見える。

おかしいのはあの人。

私はドアを開けて、外にでる。

すると。



「………………うそ。」



外国のSF映画に出てきそうな洋製の家がずらりと並んでいて、まるでそこは中世ヨーロッパの町のようだ。

たまたま前を通りすがった女性はドレス風のワンピースをきており、髪が金髪で目の色がグリーンだ。

私は床に座り込む。



「夢だよ…。こんなことあるはずない!」


 
まるで自分に言い聞かせるように言う。

どうなっているかよくわからない。

そして、訳もなく私は走り出す。



「……っ…」



知らない町。

知らない人。

恐怖が私をおそう。

もしかしたら家に帰れないかもしれない。

私はパニックをおこしていた。

その時。

―――バンッ



「っ!」
 


人にぶつかり、私は尻餅をついた。



「痛っ!なにを………ってお前…」



ぶつかった人は私をみるなり、すごい驚いた様子だった。



「っ…」

「あ、おいっ!」



だが、私はその場から走ってにげる。

どうせ夢なんだから。