間違えないでください、確かに彼女は僕の思慕の客体でした。僕は彼女に(滋子のことですが)恋していましたし、彼女の顔の映像と彼女の声の音はいつも僕の頭を去りませんでした。前段落に因って僕は結論付けますが、僕の性欲の客体は存在しませんでした。故に僕の思慕の客体と僕の性欲の客体とは一致しなかった。それですから僕は[い]謂うのです:僕は彼女に狂っていた七日間、夜な夜な自らは汚しながらも、彼女をば微塵も汚すことがなかったと。