思うに射精衝動は性欲の一つの現れ、言い換えるならば性欲の特別なケースです。もしそうであるならば、ここで次の事が言えます。自ら汚す行為は射精衝動による場合とそうでない場合があると。さて、尋ねさせてください。ここに射精衝動が原因で居ても立ってもいられない男がいます。彼の頭の中には必然的に特定の客体が存在するでしょうか、射精衝動が彼をして欲っせしむる、ある特定の者が?僕は答えが否であると言います。ちょうど、飢えた人間が、食べたい衝動が原因で居ても立ってもいられない時、彼の頭の中に必ずしもチーズとサラミのピッツァが思い描かれているとは言えないように、食べられる物なら何であろうと口に詰め込みたいように、射精衝動の支配下にあって自ら汚す彼は、第一義的にはその捌け口を求めるので、必ずしもマリリン・モンローを思い浮かべるのではない。この場合、彼の性欲に客体が無いと言えます。