貴方は僕の言葉を以て不信とするかも知れません。恋に狂った男が、狂わせる恋をした男が、夜な夜な自らは汚れながら、しかも彼が恋する客体を汚さない事が、どうして可能か。僕の答えは単純です;彼が恋うる所の者である思慕の客体と、本能が彼をして欲せしむる所の者である性欲の客体と、上二者が一致しない場合に於いて。