私は声を掛けてきた男性の後ろについて雑居ビルの3階に上がっていった。
薄暗い室内には大きめのベッドが置いてあり、その傍にカメラが設置されている。
(イメージビデオって…。)
部屋の中からカメラマンらしき大柄の男性が現れ、スーツ姿の男性が耳打ちすると、笑顔で握手を求めてきた。
「わざわざ、ようこそ。」
「…。」
ベッドに座らされ説明を受ける。
「先ほど説明を受けたと思いますが、このベッドの上で、1枚ずつ洋服を脱いで頂ければそれだけで結構です。それをカメラで撮影させて頂きますので…。」
「あの…、イメージビデオって…。」
私が恐る恐る尋ねると、大柄の男性はにこやかに答えた。
「まぁ世間ではアダルトビデオ、とも言いますけどね。」
そのままカメラの調節やセッティングに入る。
(私は…。)
私の人生全てが晴之だった。
晴之に全てを捧げ、そして…、全てを壊された。
「怖気づきましたか?お断りされるなら今のうちですが…。」
確認される。
(今の私にはもう…、何も残っていない。)
「いえ、やります。」

