笑っててくれなきゃ、わたしもツラいんだ。
「あーもう……っ! 泣かないの……ほら」
杏子はブレザーのポケットからミニタオルを出して、わたしの目に当てた。
「あ、ありがとう……っ」
クールでサバサバしてるけど、実は面倒見がいい杏子。
言いたいことを言うけど、杏子は最後までわたしを見捨てたりすることはなかった。
相談にも乗ってくれるし美人だし、無愛想だけど優しさもちゃんと伝わって来る。
そんな杏子が大好きだから、笑ってて欲しいって思うんだ。
「あたし……花梨が羨ましかったんだよね」
タオルを目に当てていると、突然杏子がそんなことを言い出した。



