「あたし、花梨に偉そうなこと言ったけど……本当は自分にそう言い聞かせてたの」
えっ……?
「行動次第で何かが変わるかもしれないって、いつも言ってたでしょ? それって、実は自分に言い聞かせてたんだ」
自分に?
「さっき花梨に言ったことも、花梨と自分に向けて言ったんだ。でも、怖くて自分からは行動を起こせなくて。おかしいよね……別れて二年以上も経つのにさ」
いつも強気で揺るがなかった杏子の目に、うっすらと涙が滲んでいる。
それを見て、すごく胸が締め付けられた。
『前に進むために告白する』
『自分の中で絶対何かが変わる』
『頑張って欲しい』
全部自分に言い聞かせてたことだったんだ。



