俺の方が、好きだけど。



それがちょっと寂しかったりする。


もうずいぶん仲良くなったと思うのに、教えてくれないってことは信用されてないってことなのかな。


杏子にたくさん励ましてもらったのに、わたしは何も出来てないんだもん。


好きな人がいるなら協力したり、杏子のために何かしてあげたい。



「いるよ……好きな人」



「えっ!? うそっ」



いる、の……?



「どんな人? この高校にいる?」



まさか教えてくれるとは思わなかったから、思わず身を乗り出す。



「中学の時に付き合ってた二個上の先輩だよ。中三の春に『他に好きな人が出来た』って言って振られちゃった……この高校にはいないよ」



悲しげにフッと笑う杏子。


その顔は今にも泣き出してしまいそうなほどで、とてもじゃないけど見てられない。