俺の方が、好きだけど。



きっぱり忘れるために、告白して振られて来いっていう意味なんだと思う。


だけど、それで忘れられるの……?


振られて、余計に苦しくなるだけなんじゃ……?



「これは花梨が前に進むための告白だよ。高野に告白したら、花梨の中で絶対何かが変わるはずだから」



前に進むための告白……か。



「振られる、傷付くって考えるよりも、前に進むために告白するって考えたら、何だか出来そうな気がして来ない?」



杏子はなぜか、悲しげな顔をしていた。


こんな杏子の顔を見るのは初めてで、胸がギュッと締め付けられる。


ホームルームが始まるチャイムが鳴ったけど、わたし達は屋上から動かなかった。



「だから、花梨には頑張って欲しいよ」



「……うん、ありがとう」



変わるのかな?


高野くんに告白することで……何かが。


杏子の言葉はすんなり胸に溶け込んだ。


すぐにはムリかもしれないけど、前に進むためだって考えたら勇気が持てそう。



何かを変えたい。


変わりたい。


杏子のおかげで、少しだけ心が軽くなった。