俺の方が、好きだけど。



うむむむむむ。


どうしよう。


こういう時、スパッと決められないんだよね。


今まで周りがスパッと決めてくれる人達ばっかりだったから、それに合わせてた。



「体力のある最初の内に乗ろっか」



悩み続けるわたしに、キヨ君が優しく笑う。



「うん!」



わたしは大きく頷いた。



今日は思いっきり楽しむって決めたんだから、余計なことは考えちゃダメ。


わたしは自分にそう言い聞かせて、並んでいる間キヨ君とたくさん話した。


だけど、やっぱり頭のどこかに二人のことがあって集中出来ない。



キヨ君と話して覚えていたことは、偶然にも好きなバンドが同じだったってことだけ。



「インディーズ時代のCDいっぱい持ってるから、今度かそうか?」



「本当? インディーズ時代って、すっごいレアだよね」



「うん、かなりな」



「だよね! うわー、ありがとう」



ニコッと笑うとキヨ君も優しく笑ってくれた。


今頃、高野くん達はどんな話をしてるんだろう。


盛り上がってるのかな……?


そう思うと、胸の奥がズキンと痛んだ。