ショックを受けながらも、高野くんの反応が気になって聞き耳を立てるわたし。
コソコソしちゃって、みっともないのは承知の上。
高野くんとはほとんど話したことはないけど、去年同じクラスだったから、わたしの顔くらいは知ってくれていると思う。
……多分。
一年生の時、クラスで一番目立つグループのリーダー的存在で、彼の周りにはいつもたくさんの人が集まっていた。
一見クールで近寄りがたく見えるけど、話すと面白くて、誰とでもすぐに仲良くなってしまうところが彼のいいところ。
人気者で明るくて、おまけに学年で一番モテているということは親友の杏子(あんず)から教えてもらった。
ちなみに……類は友を呼ぶらしく、高野くんの友達はみんなカッコ良かったり可愛かったり。
わたしなんかが足を踏み入れていい世界じゃないってわかっていたけど、胸にあふれる想いがどうにもならなくて。
伝えようって決めたんだ。
「鈴峰花梨、か。一組つったら、キヨのクラスだろ?」
「一組か。知ってる奴、あんまりいねーや」
「鈴峰って可愛いの?」
周りがそんな風に騒ぎ立てる中、高野くんの声を聞き逃すまいと神経を集中させる。
——ドキドキ
ーードキドキ
彼らにバレて学校でウワサになることよりも、今のわたしは高野くんの反応が気になって仕方ない。