キヨ君のこんな顔を見たくないから、傷付いたような顔をしてちゃダメだ。
心配させないように、笑顔でいなきゃいけない。
「わたしは大丈夫だから。せっかくだし、今日は楽しもうよ」
バスを降りる途中、わたしはキヨ君に笑って見せた。
これ以上、キヨ君に迷惑はかけたくない。
「ムリしなくていいから」
「ムリなんかしてないよ?」
キヨ君のおかげでね、すごく楽になったから。
だから、もう大丈夫なの。
「そっか。花梨ちゃんって、絶叫系好きな方?」
「うん! めちゃくちゃ好きだよ」
「マジ? 俺もだよ」
「本当? じゃあいっぱい乗ろうね」
わたしはキヨ君と顔を見合わせて笑った。
キヨ君と話してると、ツラいことや悲しいことがスーッと消えていく。
なんでかな。
わからないけど、落ち着くんだ。



