「マジだ、手紙だ」
驚いたような高野くんの声。
ーードクッ
き、気づいた……。
「もしかして、ラブレターとか?」
「見せろよ!」
さ、最悪だ。
完全に注目の的じゃん。
みんなの前で披露されて、茶化されるパターン……。
「おい、人のもん勝手に触んなよ」
「いいだろ?ケチケチすんなよ」
「それより、相手は誰だよ?」
「今時んな古風なことをする女がいるんだな」
「いいから差し出し人は?」
盛り上がる声を聞いて、顔からサーッと血の気が引いて行く。
その内のひとりは、去年クラスが同じでいつも高野くんと一緒にいた男子だ。
いつもやんちゃしてて、何かと騒がしくて目立っていたから、高野くんの周りにいる人のことはよく知っている。
封筒の裏に名前を書いたから、見られたら終わり。
ど、どうしよう……。
やだよ。
知られて、ウワサを流されたりでもしたら……。
もう、学校の中を歩けない。
「えーっと名前は……」
「おい、やめろって」
「そうだよ、人の物を勝手に見るのは相手にも悪いだろ」
「うわ、キヨも海斗の味方かよ。俺らの仲だろ? 可愛い女か確かめてやるから」
高野くんが止めに入るけど、周りは聞く耳を持たない。
「二年一組、鈴峰 花梨って書いてあるぞ」
最悪。
こんな形で、高野君よりも先に彼らに名前を見られるなんて。
終わった……わたしの恋。
そして、学校生活が。