確かにその通りなんだけどね。
いつか誰かにダマされそうって、杏子にも散々言われるし。
もう少し疑ってかかった方がいいのかな。
「けど俺、全然モテないよ?」
「えー? うそだ」
いくらなんでも、そこはダマされないんだからね。
学校の王子様がモテないはずがない。
「本当だって」
キヨ君は、なぜか少し悲しげに笑った。
「そんなことないと思うけどね」
可愛くて人気者だし、スタイルだっていいし、顔だって整ってるし、カッコ良いし劣っているとこなんてひとつもないんだから。
キヨ君に憧れてる女の子がたくさんいることを、わたしは知っている。
「昔から俺、みんなに憧れられる存在みたいでさ……」
なぜかキヨ君は、いきなりそんなことを話し出した。
「手の届かないアイドル? みたいな感じかな。中学の頃はファンクラブとかもあって、俺に手を出すなっていうのが暗黙のルールだったらしい」
ポツリポツリと話すキヨ君の声に耳を傾ける。
さっきまでのイタズラッ子の顔がうそみたいに、切なげに瞳を揺らすキヨ君。
「コソコソ付け回されて写真撮られたり、家まで付いて来られたり……毎日ファンレターまがいの手紙ももらってたし。廊下歩く度にキャーキャー言われて、正直毎日気が重かった」
へ、へー。
そうなんだ。
人気がありすぎるっていうのも、ツラいもんなんだね。



