俺の方が、好きだけど。



いざ待ち合わせ場所に着くと、さらに緊張しすぎて落ち着かなかった。


まだ三十分もあるのに、ドキドキしすぎて心臓がはちきれそう。



今ここに高野くんが来たら、わたしの心臓はいったいどうなっちゃうんだろう。



駅の中にあるパン屋さんから、焼きたてのいい匂いが立ち込める。


改札の前からそっと中を覗こうとした時。



「花梨ちゃん」



背後からわたしの名前を呼ぶ声が聞こえた。


ゆっくり振り返ると、優しい眼差しでわたしを見ているキヨ君の姿。


ふわふわパーマの髪が風に揺られて、耳から覗くシルバーのピアス。


薄手の赤のチェックのシャツと、ベージュのズボンをオシャレに着こなすキヨ君は、やっぱりその辺のアイドルなんかよりもずっと綺麗な顔をしていた。