だけど高野くんはというと、わかりやすいくらい嬉しそうな顔をしていて。
わたしとキヨ君に向かって、両手を顔の前で合わせながら必死にお願いのポーズをしている。
「俺は別にいいけど……花梨ちゃんは?」
キヨ君がわたしに視線を流す。
意外にも、キヨ君の目は真剣だった。
そんなことを言われたって……わたしは。
教室にいる時だってツラいのに、休みの日に出かけてまで二人が仲良くしてるところを見なきゃなんないなんて嫌に決まってる。
だけど……。
『お、ね、が、い』
高野くんが口パクでわたしにそう言い、懇願するように手を合わせて拝んで来るもんだから。
「……別に、いいよ」
気持ちとは裏腹に、口からは逆の言葉が出ていた。
「バカ」
杏子がボソッとつぶやいてため息を吐く。
はい、その通り。
自分でも本当そう思う。