俺の方が、好きだけど。



教室を飛び出して廊下に出ると、生徒玄関まで一目散。


二組の靴箱の前まで来た時、昨日のことが頭の中に蘇って胸が痛んだ。



もう……忘れよう。


その方がいい。


しょせん叶わない恋なら、このままなかったことにした方が傷付かなくて済む。



それに。


高野くんは大石さんのことが好きなんだから。



「あっれ〜? 呪いの手紙の子! 鈴峰、だっけ?」



えっ!?


後ろから大きな声がして、さらには名前を呼ばれてビクッとなった。


この声は……。


ーードキン



「た、高野、君……!」



「よう」



二ヒヒッと笑いながら、高野くんは立ち止まるわたしの前に回り込んだ。


襟足が伸びた茶髪の髪は無造作にセットされて、髪の隙間から覗くピアスが良く似合っている。