昨日のことはキヨ君が悪いわけじゃないから、気にする必要なんてないのに。
さっきのことはまぁ、キヨ君が振り返って見てたのは事実だから何とも言えない。
だけど、助けてくれたことが嬉しかった。
「昨日のことは何とも思ってないよ。助けてくれてありがとう」
ニコッと笑いながらキヨ君を見つめる。
「花梨ちゃんって、笑うとすっごい可愛いんだな」
「えっ!?」
笑うと可愛い……?
わたしが?
「いやいや! ありえないよ!」
「いや、すっごい可愛いよ」
キヨ君がケラケラ笑った。
やっぱりその笑顔は可愛くて、胸の奥がキュンと疼く。
可愛いだなんて、男子に言われたのは初めてなんだけど。
かなり戸惑って、どんな反応をすればいいのかわからない。
「その上、見かけによらず面白いしバカだし」
「バ、バカ?」
「うん」
可愛いの次は……バカですか?
上げて落とすなんて。
キヨ君って、飴とムチを使い分けるタイプ?
だけど……。
悪い気はしなくて、キヨ君の笑顔に心が和んだ。



