俺の方が、好きだけど。



いつ、好きになったの……?


昨日の今日で、とてもじゃないけど信じられない。


昨日まで存在を知られていなかったっていうのに。



「言っとくけど、冗談だからな」



目を見開いて口をパクパクさせていると、前からボソッと囁く声が聞こえた。



「え……?」



冗談……?



「助けるための、ただの口実。まさか、花梨ちゃんに本気にされるとは」



クスクス笑うキヨ君。


その笑顔は最高に可愛い。


なぜだかわからないけど、かなりドキッとした。



なんだ……そっか。


そうだよね。


冗談に決まってるよね。


キヨ君は先生からわたしを助けてくれたんだ。


——ホッ


これで納得。


よかった、本気じゃなくて。


でも……ありがとう。


キヨ君のおかげで助かった。



「も、もういいです。鈴峰さんはもう一度復習しておくように。では、今日はここまでにします」



キヨ君のおかげで、わたしは先生に怒られずに済んだ。