俺の方が、好きだけど。



大石さんの笑顔は、先生と同じようにわたしをバカにしているようなものだった。


気のせい、だよね?


あの大石さんが、そんな顔でわたしを見るなんて……。


みんなからの視線に恥ずかしいやら情けないやらで、さらに小さくなって縮こまる。



「先生〜! 逆っすよ。俺が花梨ちゃんを見てたんです。だから、怒るなら俺にして下さい」



え……?


クスクス聞こえる笑い声を、キヨ君の真剣な声が掻き消した。



な、なんで……?


どうして、キヨ君が?



「な、何を言うの、清野君。鈴峰さんを庇おうとしてもダメよ」



「いやいや、本当っすよ。俺、花梨ちゃんが好きなんで」



キヨ君の言葉に教室内にどよめきが起こる。


もう誰も笑ってはいなかった。



「え〜、やだぁ。キヨ君って、鈴峰さんと付き合ってんの?」



「なんで鈴峰さんなわけ?」



「ありえなーい」



あちこちから聞こえる女子の悲痛な叫び。


ありえないのはわたしも同じだって。



「し、静かにしなさい」



キヨ君が……わたしを好き?


どこをどう見て?