だけど振り返る度にクスッと笑われて、なんだか心配になる。
ほんとに言ってないよね?
キヨ君の笑顔、なんだか危ういよ。
でも憎めないのは、キャラのせい?
「じゃあこの英文を訳して下さい、鈴峰さん」
英語の先生が自慢のメガネを指でクイッと上げながら、わたしの名前を呼ぶ。
えっ……?
わたし?
メガネの奥に見える鋭い眼光にドキッとさせられた。
「さっきからよそ見ばかりしてますね。先生の授業がそんなにつまらないのかしら?」
「いえ……そんなことは」
最悪だよ。
女子には厳しいって有名なこの先生。
目を付けられたら授業のたびに毎回ありえない問題を解かされ、答えられないとみんなの前で思いっきり説教をされて恥をかかされる。
一年の時、同じのクラスの子がターゲットになっていたのを思い出した。