シーンと静まり返る空間には、ぎこちなさが溢れている。
わたしは涙がこぼれないように、瞬きを繰り返して乾かした。
ラブレターが入った巾着をギュッと握り締める。
このままじゃ嫌だ。
何も……変わらないじゃん。
高野くんみたいに、まっすぐにぶつかってみよう。
せっかく書いたんだもん、渡さなきゃ意味ないよね。
意を決してわたしは、巾着の中から震える手でラブレターを取り出した。
な、なにこれ。
高野くんの時より緊張しちゃってる。
「こ、これ……」
キヨ君の反応が怖くて、顔を見ずにスッと差し出す。
ドキンドキンと、心臓の音がありえないほどうるさい。
「ははっ。なにこれ」
乾いた笑いが辺りに響く。
キヨ君の声は、迷惑だとでも言いたそうな感じだった。